宇宙のスカイラーク号(E.E.スミス著、亀山龍樹訳)が届いた。岩崎書店の「冒険ファンタジー名作選」シリーズで、小学生中学年~中学生向け
あらすじは、科学者リチャード・シートンがプラチナ属の未知の金属Xから原子力の完全解放の方法を発見し、そのエネルギーで飛ぶ宇宙船「スカイラーク」を作成。同じ研究所のマーク・デュケーヌがその金属を独占しようと、盗み出した設計図と金属Xで作成した宇宙船でシートンの婚約者ドロシーをさらい、途中事故で地球から200光年以上も離れてしまい、シートンは「スカイラーク」で追いかけ、暗黒星(たぶん、ブラックホール?)の重力圏から離脱する際の加速度で地球からさらに4000光年も離れてしまい、燃料の銅を得るために、訪問した惑星で戦争に巻き込まれながらも、無事、地球に生還するというもの。
読んだのは、たぶん、中学生くらいの頃か。昔懐かしかったので買ってみたのだが…、子供向けにアレンジしすぎていて、なんだかなぁという感じに…。だいたい、ドロシーが婚約者ではなく、妹に変更されているのはいかなる理由で?執事のシローが子供になっていたり、実験用の装備に、勝手に「宇宙オートバイ」なんて名前を付けたり、対物コンパスはこの原子力の副産物なのに、まったくそんなことに触れずに出して見せたり。教育機械の設定も変えてしまったり…。
原作は色々と物理学的な視野が入って面白いのにそこら辺もすっとばしているな。例えば
「エネルギーを放出するのは、二つの核反応、核分裂と核融合だけだからです。非常に重い元素は分裂するし、非常に軽い元素は融合します。銅のような中間の元素はどちらもしません」
のような素晴らしい台詞を抜いてしまうとは何事かと。
同じ作者の「レンズマン」は復刊したことだし、「スカイラーク」シリーズもきちんと復刊して欲しいものだ。